「清水!
やっと見つけたぞ?」


睡眠時間も終わり、廊下をフラフラと散歩しているさ中、

あたしを呼び止める声が聞かれた。


だけど聞き覚えのあるこの声に、ため息と共に仕方なく顔を向ける。



「…何よ、副担任。」


あたしの言葉に副担任である岡部は、わざとらしい笑顔を作って向ける。


本当は顔が引き攣ってるのがバレバレなんだけど、

面倒なので、あたしがそれを教えることはない。



「宿題にしてたプリントのことだよ、プリント!」


「…それが何?」


「いつ出してくれるのか聞いてるんだけど。」


手に持っているそれの束を目の前に出されあたしは、

長いため息を吐き出しながら岡部の言葉を遮った。



「嘘つき。」


「―――ッ!」


あたしが呟いた言葉に岡部は、一瞬動きが止まって。


それを見逃さなかったあたしは、その隙に背中を向けた。



「あっ、おい!」


ハッとしたように岡部は声を上げたが、あたしの足を止めるまでの効力はなかった。


まぁ、アイツの自業自得なんだから、反論さえも出来ないだろう。



あたしとあの教師の関係。


利害関係で、体を重ねること。


アイツはそれだけじゃないっぽいが、あたしの知ったこっちゃない。


何よりアイツは、嘘つきなんだ。


あたしの一番嫌がることを、しかも陰でコソコソとやっていたのだから。


魚は食べない、と。


約束したのに破ったのだから。


無視を続けて一週間。


毎日こうやって何かしらの理由をつけては、あたしに話しかけてくるのだ。