「学校では、あたしとアンタは何の関係もない。」


強く、ハッキリと言った清水は、

少し荒くなった呼吸を整えるようにして髪の毛をかき上げた。



「…じゃあ良いよ。
教師として聞くけど、何考えてんの?」


少し睨むように、その瞳を再び捕らえた。



「…言葉の通りよ。
どーせやりたいことだってないんだし、迷惑がられてるんなら辞めても良い、ってだけ。」


「…あの女が言ったから?」


だけど清水は、俺の問いには答えなかった。



「…アンタ、あんなのと付き合ってたんだね。」


「セナ!」


「―――ッ!」


おどけたように笑う清水に、気付いたら声を上げていた。


ビクッとしたように清水は、唇を噛み締めて。



「…誤魔化してんじゃねぇよ。
お前、卒業したいから俺とヤってたんだろ?」


逃げ出そうとした清水の腕を掴んだが、やっぱり抵抗されて。


瞬間に、背中から抱きしめた。



「…別に、利用しようとかでも良いから。
言いたいことあるならちゃんと言えよ。」


「離して!!」


再度振り払われ、そのまま清水はカビ臭い資料室から逃げるように走り去った。


開いたままの扉から隙間風が吹き抜け、カーテンを揺らす。


また、捕えることが出来なかった、と。



「…嫌われたかねぇ…」


そう呟くと、無性に悲しくなっちゃって。


俺もいい加減、ヤバいのかもしれない。


半分は“面白そうだから”と、清水にちょっかい出してたけど。


俺多分、本気でアイツ居ないと死んじゃうかも。