するとコイツは驚いた顔をして、今までに見たことのない顔をした。 いや、この表情は1回だけ見たことがある。 それほどコイツのこの、哀しい笑みは俺の心に残るのだ。 この表情は俺の-----大嫌いな顔だから。 でも、それがいつだったかは思い出せない。 見たことがあるのは確かだ。 この、胸に響く感覚を俺は知っている。 そして彼女は俺に言った。 「もう、終わりにするよ」 あぁ、思い出した。 この顔は、俺に二度と家に来るなと言ってきたあの日と同じ顔だ。