夏の香り



「何でため息つくのっ?そこまで……嫌わなくても…」




「違う。」




ため息なんかじゃない。




「じゃあ、何?」




しゃくり上げながら彼女は濡れた瞳で俺を見つめてくる。


――…意識してやっているんだろうか?




「……夏井から先に言え。」




「なっ……先に女子に言わせるの!?」




「当たり前だ。俺は初心者だ。」




「私だって初心者なのに…」