分かんない。




「………ん
……………ちゃん」

闇の中、声がした。
だけどいつも聞く声ではない。

「美佐ちゃん!」

目を開くと、
そこには川上の母さんがいた。
そうだ、私
川上の家に泊まりに来たんだ。

「あ、おはようございます。
私が言ってた時間に
起こしてくれてありがとうございます」

川上の母さんは、
おはようと言って笑みを浮かべると、
部屋を出て行った。
………

「よし、完璧!」

後は朝御飯が出来るのを待つだけだ。
早く川上に会いたいな。
しばらくすると
私が心待にしていた声が
家の中に響いた。

「みんなー、起きなさーい!
今日はお正月よー!
初詣いくのよー!」

こんこん。
私がいる部屋にノックの音が響く。

「はい、どうぞ」

川上であってほしいと
願いを込めてそう言った。
部屋に入ってきたのは
私が願った通りの人物だった。

「あ……れ……?
神埼?あれ、俺寝惚けてる?」

私はそんな川上の言葉を聞いて
クスクスと笑ってしまった。
川上は物珍しそうに私を眺めると、
顔を赤くして兄を呼んだ。

「なあ、兄貴!
俺寝惚けてんのー?
誰か俺を起こしてー!」

「克哉うるせぇよー…
俺朝は頭いてぇっつってんじゃ……。
ん?俺寝惚けてる?」

川上の兄さんは
目を擦りながら私を凝視した。
川上は未だに顔が赤かった。
可愛いと思ってくれていると嬉しい。

「川上、川上の兄さん、お早う!
寝惚けてなんかないよ!」

私は満面の笑みで言った。

「あ、やっぱり?
寝惚けてないよねー。
てかまじ美佐ちゃん可愛いよ。
証拠にほら、
克哉の顔が真っ赤だよ」

「おい兄貴やめろって……」

川上は私から
目を逸らしていたけれど
顔が物凄く赤くなっていた。
耳までもが赤かった。

「さ、克哉も美佐ちゃんも
朝飯食いにいくぞー!」

部屋を出て、リビングへ行く。
テーブルにはとても美味しそうな
お膳が並んでいた。
最後に箸を置いた川上の母さんは
私の姿を見るなり笑顔になった。