人がだいぶ減った砂浜で、俺はさっきの岩の方を見た。


何も聞かずに別れてしまったな。


せめて名前くらい教えてもらえばよかった。



もしかしたら、またあそこで会えるかも……


そんな期待を胸に、俺は砂浜をあとにした。








これが

俺と彼女の出逢いだった。


彼女のことを何も知らない。


でも確かに、彼女は何か他の人と違うものを持っていると強く感じた。



そして、ひと夏の小さな運命の始まり―――……