「なんだ、梢か」
あたしの顔を見るなり、期待外れと言いたいような反応。
「あたしで悪かったわね。まさか他の子期待してた?」
いたずらっぽく尋ねると、瑠衣はう〜んというような表情をした。
「たぶん。でも誰かは分かんねえや」
「そう。ならあたしでもいいじゃない」
「はは、確かに」
一応笑ってるけど、心から笑ってない。
窓の外に目を向けた彼は、そのまま何も言わなくなった。
彼女が瑠衣の前から姿を消して、約一週間が経った。
もしあたしが全てを理解してるなんて彼が知ったら、きっと驚くだろうな。
でもそんなことは絶対ないんだ。
瑠衣は、彼女についての思い出を全部失ってしまったから。
彼女は姿を消す直前、あたしに会いに来たんだ。
そして
全てを教えてくれた―――

