「そろそろ…身体が……」


彼女の苦しそうな声が鼓膜を揺らした。


「海羅?」


見ると、彼女の身体が透け始めていた。


「もう時間みたい」

「待って、まだ消えないで」

「瑠衣、今までありがとう」

「そんなの聞きたくない!」

「大好きだよ、これからも……あたしはあなたを忘れないから。だから、もう泣かないで」


彼女の色が薄くなっていく。


信じたくないのに、目の前の現実が俺を殴りつけるように痛い。



「素敵な思い出をありがとう。恋をありがとう」

「海羅―――!!」





彼女は姿を消した。


最後に見た海羅は笑っていた。



それが

とても美しかったんだ―――……