それが今だと、どうして俺は“再会”の時に思い出せなかったんだろう。


いや、きっと思い出せなかったんじゃない。


思い出さないようにコントロールされていたんだ。



「全部思い出しちゃったから、もう離れなきゃ」


海羅の言葉がぽつりと俺の心に刺さる。


「あたしはね、あの時からずっとあなたと会う日を待ち望んでたのよ。ずっと、ずっと瑠衣が好きだったんだから……」


嗚咽の混じった声。


俺はしっかり彼女を抱きしめた。



「待って海羅…まだ2人でやりたいことがたくさんあるから」



このままずっと2人で一緒にいたかった。


結婚して、子どもだって欲しかった。


決して裕福じゃなくても、君がいるだけで十分なのに。


それぐらい俺は、海羅を愛してるのに……