ザザー、と波の心地よい音。


昼間の暑さが消え、少し涼しく感じるくらいだ。


砂浜に腰を下ろし、そのまま後ろに倒れて寝っ転がった。



広がる空に散りばめられた星。


そのどれもが、一生懸命輝いていた。


星は俺たちが生まれる前から空にいて、もしかしたら6年前のことを記憶してるかもしれない。



昔聞いたおとぎ話の中に、“星の記憶”というものがあった気がする。



――『星の記憶にはね、みんなの楽しかった思い出がたくさん詰まっているのよ』


寝つきが悪かった俺に、母親は優しくそう語ってくれた。


窓から見える星を眺め、そこにたくさんの思い出が溢れているのを想像しながら気がつけば眠りについていた。


星の輝きは俺にとって子守歌のようなものだったんだ。