その夜、俺は海羅に会えると信じて海へ向かった。


岩に登り、遠い月を眺めながら彼女が来るのを待っていた。



「――瑠衣」


来た、海羅だ。


まるでどこかで俺を見ていたように、ちょうどいいタイミングでやってきた海羅。



「どうしたの?」

「もっとしっかり、彼氏として君を知りたいんだ」

「……そう」


なぜか暗い表情をする彼女。


彼女の今までの言動を通して、自分を隠そうとしてるのは明らかに分かる。


でもそれじゃあ――



「海羅を忘れてしまいそうで怖いんだ……」