あの後、梢は素早く俺の部屋を出て行った。
俺はベッドに身を預け、気づかないうちに眠りに落ちていた。
そして、夢を見た。
……ん?ここはどこ?
見渡せば、そこは黒い空間。
床も壁もないような。
無限に闇が続いてるようだ。
静かなこの空間だけど、誰かの鳴き声が聞こえる。
それはだんだん大きくなっていき、はっきりと聞こえるようになった。
そして、前から誰かがこちらに歩いてくる。
目を凝らすけど、よく見えない。
君は誰なんだ?
どうして泣いてるの?
その人影に手を伸ばすと、その子は顔を上げた。
――えっ……
……海羅?
顔を上げたその子は、確かに海羅だった。
目には涙を浮かべ、切ない表情で俺を見つめる。

