「あんた、彼氏のくせに何にも知らないの!?」


梢の言葉が、俺に容赦なく刺さった。


「おまえには関係ないだろ」


何も言い返せない。


確かに俺は海羅の彼氏なのに、何を知ってるのか自分でも分からない。



「悪いことは言わないけど、早く別れた方がいいと思う」

「うるせーな……」

「あたしはあんたのことを思って言ってんの!後でイタい目みるのは瑠衣なんだから!」

「おまえに何が分かるんだよ!勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」


怒鳴り散らしたあと、俺は身体を起こした。


梢に視線を向け、それからため息をひとつ。



「俺はどうでもいいんだよ。とにかく彼女がそばにいてくれればそれで満足だから」


幼なじみの梢には俺の気持ちを理解してもらいたかった。


だから、ムキにならずにはいられなかった。



「おまえは何も気にしなくていいから」