「あっちぃ〜……」
真っ昼間から、俺は部屋でゴロゴロしながら暑さと戦っていた。
だいたい、夏にエアコンが壊れるってよくあることだけど死んじゃうっての。
居心地の悪い部屋を出ようと、立ち上がった時だった。
――ガチャ
「よっ、瑠衣」
部屋の扉が開き、梢が顔をのぞかせた。
「なんだ、おまえか」
「ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」
「お好きにどーぞ」
俺はベッドに腰掛け、梢は絨毯の上に正座をした。
「で、話したいことって?」
「それが、あんたが今付き合ってる子のことなんだけど……」
その瞬間、俺の身体がピクッと反応した。
「この前初めて見たんだけど、見覚えのない顔だったのよね」
「それがどうしたんだよ」
「おかしいと思わない?こんな狭い田舎町なのに、しかもあんな可愛い子初めてよ」
それは俺も思ったりしたけど……
「引っ越してきたとかだろ」
それだけ言って、ベッドに寝っ転がった。