夏の終わりが近づいてきた。
夕方になればヒグラシの鳴き声が悲しく響いて、俺が好きなこの季節とまたさよなら。
そして大学の夏休みが終われば、俺も東京に戻らなきゃいけなくなる。
その間、海羅とも少しのお別れになるかもしれない。
俺が海羅を忘れるっていうのは、都会に戻った時のことなのかもしれない。
海羅の言葉は気にしないようにしようと思ってたけど、さすがに無理だな。
彼女の不思議でふわふわした存在が、俺をどんどん悩ませる。
でも深く追求はしない。
いや、できないんだ。
もし全てを知ってしまったら、彼女が消えてしまいそうな気がしたから。