「あっ、今何時?」 突然海羅が顔を上げた。 俺はポケットからケータイを取り出し、時間を確認した。 「5時過ぎだな」 「もう日付け変わっちゃったんだね」 そっか、今日はもう俺の誕生日。 「上に行こうよ」 「あっ、うん」 岩の間から出て、海を見渡した。 静かな波音が心地よく、深呼吸をした。 それから岩の上へ登り、2人で並んだ。 「瑠衣に見せたいものがあるの」 ほら見て、と彼女は海の向こう側を指差した。