気がついて、ゆっくりと目を開いた。
「んっ……」
まだ暗い辺りを見回しながら、隣で眠る海羅を見た。
裸の上にワンピースを被せただけの、人には見せられない格好だ。
肩を揺らして起こすと、ゆっくり目が開いた。
出逢った時のことを思い出して、少し懐かしい気持ちになる。
「海羅、服着とけ」
「ん…うん」
身体を起こした彼女は、マイペースに服を着始めた。
それから俺の手をとり、手のひらにぴったりと顔をつけた。
「瑠衣、ありがと」
「どうしたんだよ」
「あたし、すごい幸せよ」
それは俺も一緒だ。
海羅がいるだけで十分だから。
「ずっと一緒だから」
そう言って抱きしめると、わずかに彼女のすすり泣く音が聞こえた気がした。
「瑠衣……」
すすり泣きも涙声も、聞こえないふり。
気づかないようにするため、長い間彼女を抱きしめていた。

