「ぁっ…るぃ…」
痛みを訴えるような海羅の声が響き始めた。
「だめか?」
「ううん、して……」
首を振る彼女の目には涙が。
それでも彼女の言葉を信じて続けた。
「はぁ…ぁ……」
「海羅……」
ひとつになれて幸せな瞬間でさえも、俺の頭からさっきの言葉が離れない。
――“あなたはあたしのことを忘れちゃうから”
絶対に忘れたりなんかしない。
たとえどんな運命が待っていようと、きっと俺には海羅が全てだから。
どうか、
綺麗な思い出のままで。
泡のように消えてしまわないで。
今というこの瞬間が、俺と彼女の未来の幸せへと続いていくはずだから――…

