Beautiful Mermaid




彼女の大胆発言に、きっと俺の顔は赤らんだだろう。


見られないから、海羅が背を向けてくれてよかったとホッとした。



「なんでそんなに焦ってんだよ」


できるだけ優しい口調で尋ねると、海羅のこわばっていた身体が一気に和らいだ気がした。


それから、彼女の小さい吐息の音が漏れた。



「あたしは他の子と違って特別だって言ったよね」

「うん」

「もしあたしが時の神クロノスの子どもって言ったら、信じる?」

「…えっ?」


それが嘘なのは分かってる、はずなのに……


彼女の深刻そうな横顔を見ていると、それが遠い存在のように思えた。



「そうだったら、あたしには未来が分かっちゃうんだよ?あたしたちの未来がね」

「いきなりどうした――」

「あなたはあたしのことを忘れちゃうから」


言葉を遮られ、彼女は意味深にそう言った。


ゆっくり顔をこちらに向けながら、苦い笑いを浮かべた。



「瑠衣に愛された証拠がほしい…記憶として残したいの」