『たとえ夏でも夜は冷えるから』


そう言って海羅は俺を岩と岩の間の洞窟のようなスペースへ案内した。


「ここなら風をよけられるでしょ」

「意外と広いな」

「2人だけの場所。秘密だよ」


2人でゆっくり寝れるくらいの広さだ。



「日付けが変わるまで一緒にいていい?」


甘えるように海羅が尋ねる。


もちろん、と俺は頷いた。


「あなたの誕生日を一番最初に祝いたいの」

「はは、嬉しいよ」


俺はそのまま後ろに倒れ、横になった。


岩の隙間から見える空には無数の星があった。