――そんなある日

俺はいつものように海羅に会いに海へ向かった。



「ちょっと、瑠衣」


砂浜を歩いていると、急に名前を呼ばれた。


声のした方を見ると、そこにいたのは梢だった。



「あんた最近よくここに来てるよね。誰かと会ってんの?」


相変わらずの上から口調で梢はそう訊いてきた。


「別に」

「怪しい…吐きなさいよ!」


まるで野獣のように飛びつく梢。


「やめろ!なんでおまえなんかに言わなきゃなんねーんだよ!」

「はっはーん!もしや女でもできたのね」


あえて何も言わずにいると、梢は確信したような笑みをこぼした。