「瑠衣が好き…なの」
弱々しく笑って、海羅はそう言った。
俺は彼女を見つめることしかできずに、今の言葉の意味を探った。
「好き…?」
「うん、だから一緒にいたいの。それじゃあだめ?」
悲しみに溢れたその顔を、手放すなんてできない。
守りたい、そう思ったんだ。
気づけば俺は立ち上がって、彼女を優しく抱きしめていた。
「だめじゃない。俺だって一緒だよ」
「ほんとに?」
「うん。昔のことなんてどうでもいいから」
「…ありがと、瑠衣」
そっと顔を近づけて、俺たちはキスをした。
海羅の流す涙が少ししょっぱくて、なんだか切ない味のするキスだった―――

