お互い何から話せばいいのか分からず、ただ黙って海を見ていた。
そうしていると、海羅の手が俺の手に重なった。
「あたしたち、昔に一度会ったことあるんだよ?」
「ごめん、覚えてないんだ」
「知ってるよ、仕方ないことだから」
やっぱり、どうしても思い出せない。
仕方ないっていうくらいだから、俺はそんなに小さかったのか?
いや、海羅の方が2つ下だから逆にそっちが忘れてるはずだよな。
「海羅、ちゃんと話してほしいんだ」
「……言えないよ。そうしたら会えなくなっちゃうから」
「俺だけが知らないのは嫌なんだよ」
「言えないったら言えないの!」
急に彼女は立ち上がり、俺を見下げた。
「約束したの、あたしの恋心と」
「……えっ?」

