夕日に照らされてオレンジ色に燃える海を見つめながら、彼女は薄く口を開いた。 「人魚姫が人間に恋したのは、結ばれないって知っていたからかもね」 「えっ?」 「終わりが来ることを知ってるから、こんなに好きになっていくのね」 何気ない呟きだったんだろう。 それぐらい彼女は自然だ。 「そうなのかな?」 「うん。きっとね」 幸せで切ない そんな恋をした ハタチの夏だった―――……