海羅は俺が考えてるような色事は全く頭にないのかな。
案外純粋なんだな。
「どう?幸せ?」
「えっ?」
急に変なことを訊いてきた海羅。
「んまぁ、幸せだけど……」
「ふふっ、あたしも」
読めないな。
彼女の思ってることが全く分からない。
彼女の子どもっぽい無邪気な笑顔が、イメージをかき乱していく。
ほんと、不思議だな。
「なぁ海羅、家に帰らなくていいのか?」
考えすぎないように、俺は話題を変えた。
「もう11時だぞ。高校生は帰らなきゃ」
「あたしは高校生じゃないし、帰らなくても心配する人なんていませんから」
「あっそ。んじゃあ俺は帰るよ」
そろそろ帰らなきゃ、心配性の母親が黙ってないだろうな。
それ以上に海羅のことは心配だけど、俺は立ち上がって彼女の頭をポンと叩いた。

