「ん…おいしい」
海羅は初めてのアイスを気に入ったよう。
「あたし、これ好き!」
満面の笑顔を俺に向けた。
その顔は大人っぽい彼女からは想像できないほど、多感な子どものものだった。
「死ぬ前に食べててよかったろ」
「うん。ありがとね、瑠衣」
それから、どんどん食べ進める海羅。
その姿を見ていると、急に彼女が俺の方を向いた。
「瑠衣も食べようよ、はい」
木のスプーンに乗せたアイスを俺の口元に運ぶ海羅。
これはあれか。
あの『あ〜ん』ってやつか。
しかも間接チューだし。
「ありがと」
本当の気持ちは隠して、冷静にアイスを食べた。

