八一ト



「んじゃ

もう帰るわ」

「……」

返事のない恋次に
私達は戸惑う

「最近…
いつもこうやねん」

ニコリと笑う
せんじの顔は曇っていた

「ねぇ…
その傷……」

私がせんじの腕の方に指をさす

「あぁ…

心配せんでエエで

ちょっと転んだだけや」

転んだだけ…

この言葉は嘘をつくための言葉

転んでこんな真っ赤な痕なんて
付くはずない