「…ねぇ、彼方くん」 「うん?」 「…記憶…戻るかな…?」 「…戻る。絶対。」 「…また…あたしのこと…見てくれるかな…?」 「…見る。絶対。」 「…一生、記憶が戻らなかったら…」 「…それはない。大丈夫だ。」 「…彼方くん…」 「…ん?」 「ありがとう」 「……うん」 病室の前で話してたあたしたちの前に人が立って影ができる。 「………彼方?」