「お前よく頑張るな」 監督が俺に声をかけた。 「いえ…」 「今度の大会、スタメンで出てくれ」 「え!?」 「お前はよく頑張ってる。」 よかった。 これで…これでちゃんと山本との試合に出れる。 「頑張ってね!颯斗くん!」 隣でマネージャーの倉橋がいう。 「倉橋、いつも言うけど“颯斗くん”って呼ぶな。」 「じゃあ聞くけど、なんでだめなの?」 「…」 言える訳がない。 “好きな人が俺をそう呼ぶから”なんて。