――『のっ、乃梨子さん!!これっ、僕の気持ちです!!』


学校に入った瞬間、乃梨子の周りには男子生徒が集まる。


『おいっ、抜け駆けすんなよ!?』

『お前もだろっ!?』


誰もが彼女に自分の存在を知ってもらおうと必死である。

そんな中、男子生徒の輪の中心にいる乃梨子は――


「汚らわしいですわ!道をお開けになってください!」

『『『・・・っ』』』


乃梨子の容姿からは到底予想もつかない大声が、校門前に響き渡った。

ゆっくりと乃梨子の前に道ができ、乃梨子は堂々と進んでいく。

そんな乃梨子の後ろ姿を沙希はついて行きながら、登校途中で購入したおにぎりを食べながら見つめていた。