昨日、私の心を奪ったのは彼でした。





『――乃梨子っ!何ボサッとしてんだよ!…行くぞ!!』


乃梨子と沙希は、ある喫茶店に来ていた。

どこにでもある、ちょっと奥にある、少し古びた、喫茶店。


沙希はテンションがMaxなようで、乃梨子の返事も聞かず、喫茶店のドアを開けた。


カランカランッ

『裕也ぁー!来てやったぞ~!!』

「ちょっと、沙希…。」

『――はぁ、一々声がデケぇよ、サル。』

「―――っ…!」


喫茶店に、周囲の事も考えず入って行った沙希の前にいたのは、


『裕也ーーっ!来てやったぞ!』

『…お前が来ても全く嬉しくないんだがな…。』


先日、乃梨子を若衆から守ったあの学ランの男――がいた。

乃梨子は驚きで何も言えない。

ただただ、沙希と話している彼を見つめるだけである。