昨日、私の心を奪ったのは彼でした。





――『乃梨子、のーりーこっ!』

「、あ…母上。」

『どうしたの?さっきからずっと、上の空で…何かありましたか?』

「い、いえ…。」


家に帰って、御茶会に出て、一段落ついていた乃梨子に、母・美佐子は声をかけた。

なぜなら、乃梨子の様子が、いつもと違ったように見えたから。

それを、夫の泰蔵に話したのだが、泰蔵には乃梨子の変化は分からなかったようだ。

『今日の茶会も見事なものだった』と、言っただけである。


「母上…。」

『はい?』

「母上は…何故、父上とご結婚を?」

『え…?』


やっぱり、何かあったんだわ。

美佐子は、直感的にそう思った。

乃梨子は美佐子がおなかを痛めて産んだ子なのだから、ちょっとの異変でもよく分かる。


さては、恋でもしたのかしら…?