桃太郎と愉快な仲間たち

桃を手に川から上がってきた少年は、ふと視線を感じおばあさんを見る。

おばあさんは慌てて目をそらす。

おじいさんのふんどしは海を目指す。

「どうしたの?この桃っておばあさんの?」

「いえ。わたくしのではないのですが……」

「ですが?」

「いえね、病弱なおじいさんの為に桃を食べさせたいと思っておりまして……」

「おりまして?」

「出来ればでいいのですが……」

「出来なければ断っても良いの?」

「まあ、それは貴方様の桃ですし……」

「欲しいならあげるし、それほど欲しくもないなら僕が食べちゃうよ」

「……欲しいです」

「いいよ。一つ質問してもいい?」

「……なんでございましょう」

おばあさんは恐る恐る少年を見つめる。

「おじいさんってよく山に行くよね?なんで?」

「松茸やトリュフが山にあると申しまして、それを探しに行っております」

「ふ~ん。で、あるの?」

「いえ、まだ一度も見つかっておりません」

桃太郎は優しさに溢れた魅力的な笑顔で桃をおばあさんに手渡し、言った。

「決めた!今からおじいさんに会わせて」