翌朝、おばあさんは5時に目が覚める。

夏の朝は早い。

おばあさんは洗濯物を籠に入れ、近くの川へ向かうと早速、洗濯を始めた。

すると、川の上流から桃が一個流れてきた。

別段、大きくもないただの桃だ。

しかし、毎日のようにありもしない松茸やトリュフを探すおじいさんのせいで、ろくなご飯を食べていない。

一瞬、桃に心を奪われ、つい手が緩んでしまいおじいさんのお気に入りの赤いふんどしを流してしまうが、今はそれどころではない。

おじいさんのふんどしよりも桃である。

おばあさんまで後十メートル。

九メートル。

八メートル。

ざぶ~ん!!

誰かが川に飛び込んだ。

「やった~!桃だ~!」
桃を手に満面の笑みの少年がそこにはいた。