地球は広い。そして青い。



この物語は世界にある六つの大陸のうちの一つ。
アジアの極東に位置するある国のある村のお話である。



おじいさんは還暦間近なのに今日もせっせと山に足を運ぶ。


目的は何か?


松茸やトリュフなど高値で売れるであろう食物を探すためである。



日が暮れた頃、おじいさんはボロい自宅に帰ってきた。


「いや~、今日もなかった。松茸やトリュフは一体どこにあるのかの~?」

「そんなものあの山にある訳ないでしょうに。夢ばかり見て」


「いやいや、源三さんが小さい頃に一度だけ松茸を見つけたらしいのじゃ」

「その松茸を実際に誰か食べたんですか?」

「源三さんが言うには、その頃は松茸の価値を知らなかったから採ってこなかったと」

「そんなのは嘘ですよ」


会話終了。


おじいさんとおばあさんは毎日ようにこの不毛な問答を繰り返し、疲れ果て、眠りに就くのであった。