可愛く見られたくて・・・

さっきまでのおしとやかだった紗枝が

嘘のように話した

まるで世の中に恨みを持っているかのように…

私はこれが

紗枝の生きる源になっているのだと

この時感じた


紗枝は自分の過去を私に話し出した


「私は幼い頃から弱視で

 3歳で全盲になったの

 小さい頃の記憶はほとんどなくて

 両親の顔や自分の部屋

 リンゴの色や形も分からないまま

 今日まで生きてきた

 ずっと家の中だけの生活
 
 何度も逃げ出して死のうと思ったけど

 高いところに行くまでの方法が

 私には分からなかった―