ガチャー……
そんなやり取りがあったとは知らないで柚花は陽気に部屋に入ってきた。
『時間割見てきたよ~♪』
『明日は1時間目に生物だったけど、分かるかな~?』
『あー、確かに……。』
そう直樹が言ってちらっと母親に目を向けた。
そんな二人を見て柚花は【?】のマークを浮かべていた。
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全てを真っ黒に染め、辺りは静寂に包まれた真夜中。
静かな自分の部屋と言われた部屋のベッドに座り柚花はうつ向いていた。
(何だかお母さんと直樹の様子がおかしかった。)
なんとなくではあるが、柚花は2人の違和感に気付いていた。
【わたしには何ある。】と……。
そしてそれは翌日のどしゃ降りの中で知ることになる。
着実に時間は迫ってきていた。
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ピンポーン。
ガチャ
『直樹、おはよう!迎えにきてくれてありがとう。』
『おはよう、柚花ちゃん!どういたしまして。』
そう言って2人は目を見合わせてクスクスと笑いあった。
『ちょっと柚花、待って!!お弁当忘れてるわよ!』
『あっ……あっぶなっ!ありがとうお母さん!!午後死んじゃうとこだった!』
『全くもう!!直樹くんこのバカ宜しくね。』
『はい!』
『ちょっと、バカは余分でしょ!』
アハハハハー……
アパートの廊下に朝から笑いが響き渡った。
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