チュンチュンー……
雀と思われる鳥の鳴き声が早朝から真っ青な空に響き渡る。
『ーよしっ!!』
今日は遂に柚花の退院の日だった。
交通事故にあったものの頭部に強い衝撃で記憶喪失なったこと以外は幸いにも軽傷だったためわずか2週間の入院だった。
ーーガラガラー
『柚花ちゃ~ん!準備は出来た~?』
『うん!ばっちり!!』
『じゃぁ、最後に看護師さんやお医者さんに挨拶しに行こう!!』
『うん!!』
あれから直樹は一日一回は必ず柚花を訪れていた。
あっという間の2週間であったが柚花と直樹の仲は着実に深まっていっていた。
ーー僅かな恋心を柚花の複雑な心に残していって……。
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『柚花ちゃん!退院おめでとう!』
『ありがとうございます!皆さん今までありがとうございました!』
『俺も毎日面会時間ギリギリまでいつもスミマセンでした!!』
『ふふふ、やーねー?仲睦まじくて羨ましかったわ~♪』
『ね~♪』
そういって柚花と主に接点があった看護師さん達と話していた。
『ところで柚花さんは直樹くんと同じ学校なんだっけ?』
『はい!!クラスも一緒なんですよ~♪』
『えっ!?そうだったの?』
『あれ?言ってなかったけ?』
『うん!!明日から学校だから不安になってたけど、直樹がいるなら安心だよ~』
ほっと胸を撫で下ろす。
『その……、記憶喪失のことはクラス皆が知ってるから居心地悪い雰囲気があるかもしれないけど、皆良い奴だし直ぐに仲良くなれるよ!!』
『何かあったらいけないから、学校ではなるべく直樹くんと一緒か、大人数で行動してくださいね。』
『え?どうしてですか?直樹とならまだしも大人数でって……。』
『何かのきっかけで少しずつ記憶が戻ってきた時体に凄く負担がかかり、立っていられない場合もありますから。』
『そうなんですか……。』
『俺が何処までも着いていきますらか安心してください!』
ふん!と意気込んでいる直樹を見て看護師さん、お医者さんそして、柚花は笑っていた。
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『柚花ちゃん!!直樹くん!!元気でね~』
そう送られて病院をあとにした。
太陽が地面を照りつけるある暑い日のことでした。
