笑いがおさまった頃柚花はふと気になった。
『昔の私はどんなだったの?』
『えっ……?』
一瞬にして直樹の顔が強ばった。
しかし、それは一瞬の出来事で気付けば元の人懐っこい笑顔に戻っていた。
『柚花ちゃんはちょっと意地っ張りでね~』
『えっ!?意地っ張りだったの!?』
『うん。今とは正反対だったよ。それに、皆…あっクラスの子ね?皆と仲良かったよ~。』
俺とは大違いなんて言って笑っている直樹を見ながら今と昔を比べてみる。
(……。正反対じゃない。)
次第に柚花の顔には影が落ちる。
外が次第に夕焼けになったのか、又は柚花の心が曇ったのか、
きちんと柚花を見ていない直樹は気付かなかった。
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『昔の私は意地っ張り……。』
『昔の私は皆と仲良し……。』
暗い無機質な部屋に柚花の呟きは溶けるように消えていった。
