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『柚……花?』
『そう!柚花!!君は九条柚花って言うんだよ!!』
2つの文字を言った彼女を嬉しくてニコニコと笑う男の子。
彼は医者に言われた通り彼女にいろいろ教えようと泣き叫んぶ彼女の母親の代わりに教えようと一から説明をしていた。
『貴方の名前は?』
『えっ?俺の……?』
いきなり自分の名前を聞かれたので彼は慌てた。
『うん。貴方の名前。それにどうして私にここまで良くしてくれるの?』
何故?と彼女は言わずにわいられなかった。
さも当然の如く彼は一緒にいたが肉親ではない彼は彼女からすれば不思議だった。
『俺は……、俺の名前は高城直樹!!』
直樹……そうぼそりと柚花は呟いた。
それから直樹をしっかりと見つめて次の言葉を待った。
『えっと、俺は……』
恥ずかしそうに目をそらし人差し指で頬をかく。
『柚花ちゃんとは……その……こっ……恋仲なんだ!!』
いをけっして言った直樹は自分でも分かるくらい顔に熱が集中して頬が赤かった。
キョトン。
『恋……仲?』
『えっ……うん。』
クスクスクス。
『恋仲って……ふふ。』
この時が彼女が記憶を無くしてから始めて笑った瞬間だった。
『わっ笑った!!でもえっ……なんで笑うの?』
あわあわする彼を見て更に柚花はお腹を押さえて笑いまくる。
『だっ……だってふふ、恋仲って普通に付き合ってたって言えば良いのにふふ、そっ……それに、クスクス、あまりにも慌ててるし』
言い切って更に耐えきれずに笑う。
ポカーン。
『たっ確かに……。付き合ってたって言えば良かったんだ!!』
なんとも間抜けな顔で【その手があったか】と言う感じで柚花を見ていた。
