「で、もう止めていいだろ」


「まだ4時だよ。今日が終わるまでまだ八時間もあるよ」


「お前…マジで言ってる?」


「うん。だから『お前』じゃなく『お嬢様』それにこの賭けを言い出したのは樹先生だよ」


「チッ!分かった。やります。やらせて頂きます、お嬢様」


再び蝶ネクタイと上着を整え


「では、お下げ致します」


「はい、ごちそうさまでした」


お皿とカップを下げて洗い物をしてる樹を側に行って眺めていると


「お嬢様、退屈なさってるようで」


「えっ?」


「お嬢様の退屈凌ぎと成績向上も私の勤め」


「……」


何を言い出すんでしょう?


食器を拭き終わり



「お夕食までまだお時間はございます。さ、お勉強致しましょう」


「はっ?」


私の手を取って部屋に引きずって行き



「ち、ちょっと樹」


何で勉強?


机の前に座らされて


「お嬢様、私がお夕食の支度をしている間にこれを解いて下さいませ」


「……」


「これも全て大切なお嬢様の為。執事たるもの全てお嬢様ゆえですから。いいですね」


言葉は丁寧だけど目は意地悪く


バタン


部屋を出て行った。


「……」


何故にこうなるの?


はぁ~仕方ない。


やらないとまた嫌味攻撃だし。


かくしてお嬢様は数字と格闘を始めました。