でも、ここで負けちゃいられない。

新入社員のプライドと、

女のプライドで、

どうにかこの場を耐えなくっちゃ。

そう思い直して、

私はそうっと課長の方へ目をやる。

相変わらず無表情のまま

パソコン画面に向かうその姿は、

ある意味『課長の鏡』だと思う。

でも本心が見えてこないのが、

すっごく怖いところでもあるんだけれど。

視線を元に戻して、

たんまりと積まれた書類に手をつける。

このデータを、

今日中に打ち込まないと

また残業になっちゃう。

それだけは避けないと。