「キミ。

 悪いけど、

 ちょっとどいてくれない?」


その冷たい響きに、

ぞうっと背筋が凍っていく。


さっと素早く振り返ると、

いかにも迷惑そうに

眉をひそめた男性が

顔を覗かせていた。


「す、すみません!」


ピョン、

と飛び跳ねるようにその場を離れると

これでもかと頭を下げて

男性に謝った。