ただ、今は花帆の言葉で静まっているが、

この雰囲気が全てなくなったわけではない。


全校にまで知れ渡っている事実と、

全校からの好奇な目が

真由の心をボロボロにしていた。


「あ、香坂君よ」


クラスメートの一人が呟く。


圭輔が1組の教室へと廊下を歩いていた。


「香坂君ー」


別のクラスメートが圭輔を呼び止める。


その声に反応し圭輔が2組の教室に目をやる。


一瞬、真由と圭輔の目が合った。


「あ……」


真由の鼓動が早まる。


圭輔は表情を変えず

視線をそらし去っていった。


香坂君はこの噂をどう思っているの?


私のこと、嫌だと思っているの?


様々な思いが真由の心を駆け巡っていた。