真由は顔をほんのり

染めながら小さく頷く。


そして手に持っている

可愛い小箱を差し出した。


「そっかそっか。

 じゃ、

 今日ちゃんと渡さなくっちゃね、

 香坂君に」


杏奈は優しい声で真由に囁いた。


真由はなんだかそわそわしていて、

自分でも

どうしていたらいいのか

分からず不安で仕方ない。


とそこへ圭輔が

真由たちの方へと近付いてきた。


「あ、今チャンスだよ」


花帆が慌てて

真由に耳打ちをする。


真由の鼓動が早まるのを感じながら、

圭輔を呼び止めようと口を開けた。