花帆の声に

一瞬の内に教室内が静まる。


真由は慌てて

花帆の口を塞いで

“シーッ”と

ジェスチャーをした。


「花帆、声大きいから」


真由の言葉に

花帆が手を合わせて謝る。


そして改めて

周りに聞こえないように

小声で花帆が話し始めた。


「2月14日。

 バレンタインデーよ」


「バレンタインデー……?」


真由は花帆の言葉を

ゆっくりと繰り返す。


そんな真由に

花帆はじれったく感じたのか

小さく溜息をつき、

「好きな人にチョコを渡す日よ」

と真剣な眼差しで言った。