初恋-はつこい-

「はい、玲子さん」


そう言ってエリは

玲子に1枚の紙を差し出した。


「何なのよ、それ」


杏奈は溢れ出る怒りを

なんとか抑えながら言った。


「菅野、これを見なさい!」


玲子がそう言うと、

その紙を真由たちに見せた。


そこには大きく

『3年2組菅野真由は

 3年1組香坂圭輔君がスキ』

と書かれていた。


「……!」


真由は一瞬で

血の気が引いていくのを感じた。


「菅野、このビラ、

もうすでに全校生徒にばらまいたから」


「ち、ちょっと!

 なんでこんなことすんのよ!」


今まで抑えていた怒りを

杏奈は全てぶつけた。


「なんでって……。

 そりゃ、もちろん、

 菅野に香坂君を諦めさせるためよ」


真由の身体の震えが一層激しくなる。


「という事だから、菅野。

 とっとと諦めなさい」


「な……」


杏奈が反論しようと声を出すのと同時に、

玲子たちは振り返り

さっさとその場から去っていった。