真由の斜め前を歩く圭輔の姿。


後姿を見るだけでも

真由の心は時めいていた。


「絶対一緒に受かろうねぇ、

 香坂くぅん」


圭輔の横からは

すでに聞きなれてしまった

甘ったるい声。


そう、

玲子もまた真由たちと同じ

小宮南を志望していた。


玲子は大きな蛇のように

圭輔の腕に自分の腕を絡ませる。


圭輔は怪訝な顔をしながら

玲子に向かって冷たく、

「なぁ、腕絡ませんの、

 やめてくんね」

と軽く睨みつけながら言った。


しかし玲子は

そんな圭輔に動揺することなく、

むしろそれ以上に

ねちねちと腕を絡ませる。