初恋-はつこい-

人込みの中を

かき分けるように歩く。


はぐれない様に

圭輔はしっかりと

真由の手を握り締める。


手から伝わる圭輔の優しさに、

真由は酔いしれていた。


「大丈夫か」


圭輔が真由を

横目で見ながら言う。


真由はその視線にドキッとし、

顔を赤らめながら頷いた。


「う、うん。大丈夫」


真由の返事に

圭輔は微笑むと握り締めた手を、

自分の胸の前に持ってきた。


「もし、キツくなったら

 ちゃんと言えよ」


圭輔の一つ一つの言動に、

真由の心は温かくなった。


「ありがと、香坂君」


小さな声でお礼を言う。


しかし、圭輔には

聞こえていないようだ。


本当にありがとう、香坂君……