圭輔の足が一瞬止まる。


しかし、圭輔は

真由の方を向こうとせず、

「何?菅野さん」

と氷のように

冷たい口調で言った。


その響きに

真由の心は一瞬にして

凍りつく。


真由は恐る恐る

圭輔の後ろ姿に向かって

声を掛ける。


「あの……。

 私のこと、どう思ってる、

 のかな……」


真由の鼓動が早まる。


数秒の間の後、

圭輔はその体勢を崩さずに、

「どうって、別に。

 菅野さんには土屋がいるじゃん」

とだけ言うと、

真由の前から去っていった。


圭輔の言葉が

深く真由の心を傷つける。


真由は暫くその場から

動くことが出来なかった。